2018 今年の稲作を振り返る
ようやく稲刈りが終わったので、今年の稲作を振り返る。ただの備忘録。
4月初旬頃
施肥計算。土壌のPHと残留窒素を測定し、測定結果を元にどれだけ施肥するかを計算する。
計算した施肥量を田んぼにまんべんなく撒いて、トラクターで耕耘。肥料は、鶏糞、苦土石灰、醗酵肥料を使用し、有機無農薬栽培。有機の場合は、好気性微生物の活動を妨げないよう浅く耕す。
田んぼに水は欠かせない。田植え前に「郷役」として地域の方々と水路整備。山間部では冬の間に水路に落ち葉と泥が堆積してしまうのでそれを除去。これが結構きつかった。過疎地域では田んぼをやる人が減っているので、管理する水路延長に対して人が足りないことが問題。
軽トラックの大名行列。畦道のポルシェ。
塩水選。もみを塩水に浸すことで比重の軽いもみを取り除く作業。
温湯消毒。60度のお湯に10分間もみを浸すことで雑菌処理する。
浸種。塩水選、温湯消毒が終わった種もみを10日間程度水に浸し、発芽を徐々に促す作業。積算温度100度くらいが目安。もみの先端にひょこっと芽がでる。
4月中旬
籾まき。育苗箱に栄養分のある土、もみ、表土の順に敷き詰める。表土が厚すぎても薄すぎてもダメで、育苗に影響を与える結構センシティブな作業。
プール育苗。育苗箱を浅めの水に浸るように浮かべて育苗する。
育苗中。芽が伸びてきた。
表土が厚かったり、籾がまばらだと苗の育ちにも差が出てくる。
5月上旬
畦塗り。土手を固めて田んぼの水持ちを良くする。機械だとめちゃくちゃ早い。
代掻き。苗を植える前の準備として、田んぼに水をいれた状態で耕耘する。田んぼを水平にしたり、とろとろの粘土層を作って水持ちを良くすることが目的。代掻きは後々の作業効率に大きく影響を与える大事な作業(と後々わかった)。
代掻き後。これで田植えの準備は完了。
田植え。手植えは田引き紐を使って一直線になるように植える。ガタガタに植えると除草、稲刈りなど後々の作業が大変になる。稲の持ち方はダーツを握るように三本指で握り、第2関節が埋まるくらいに置いてくる感じ。
ツアーでの田植え体験。大勢でやると手植えでも早い。
機械による田植え。慣れるまでまっすぐに植えるのが難しかった。
田植え後。まだ雑草のように稲が小さい。
少し成長。この辺りから雑草との戦いが始まる。チェーン除草、手除草、田転がしを駆使。主な雑草はヒエ、オモダカ、コナギ。
これはクログアイ。
さらに成長。
分蘖し始める。分蘖とは根元から新芽が伸びて株分かれすること。田植え時は3〜5株だったのが、分蘖すると10〜30株くらいに増える。
ある程度成長してくると「いもち病」にかかる稲がでてきた。感染すると葉に赤黒い斑点やひし形の模様が出現。水が冷たかったり、窒素過多だと発病。早期発見、早期除去が対策。
8月頃。今年は暑かった。
穂がつき始めた。
いもち病の稲を大量に刈った。去年まで荒れ果てた耕作放棄地を開墾したばかりの場所は、天然の窒素が土壌に大量に含まれているのでいもち病になる危険性が高い。案の定いもちに感染。空気感染するので感染した稲は除去。
穂に身がつき始め、こうべを垂れ始めた。
稲の色が緑から黄色くなっていく。そろそろ稲刈り時期。
待望の稲刈り。コンバイン、バインダー、手刈りの三つの方法で稲刈りをした。
コンバインは大型の機械で、稲刈り、脱穀まで一気にやってくれる。もみは乾燥機で乾燥させる。米の保存には水分量15%くらいが適度。
バインダーは小型の歩行型稲刈り機。稲を刈り、結束した状態にまでしてくれる。
手刈り。手刈りで大変なのは結束作業で、5〜6株程度をまとめてバインダー紐で硬く縛る。
バインダーや手刈りで刈った稲は、ハザ掛けして10日ほど天日で干す。乾燥機で乾かすよりも天日干しの方が美味しくなるらしい。
乾燥させたらコンバイン袋に入れて保管。あとは精米して食べるだけ!新米が楽しみ。
本来、稲作は手がかからない作物らしい。どの作業が不要か、どのレベルまで手入れが必要なのか、手入れに対する収穫量への影響など、いかに楽してできるかを研究したくなる。農業においていかに負担を軽減するかは、継続性の面を考えると大事なことだと思う。
以上